てんかんと社会福祉制度

てんかんは内服治療や定期的な検査などで長期にわたって通院が必要となりますし、お薬代や検査代の金銭的な負担は決して軽いものではありません。

金銭的なことだけではなく、てんかんに伴ってその他の障害をお持ちの方も、日常生活において種々の支援が必要なことがあります。

今回はてんかんの方が受けられる可能性のある社会福祉制度について解説します。

どのような制度があるのか

てんかんに限らず持病などの障害をお持ちの方が利用できる種々の社会福祉制度は、さまざまな法律に分かれて規定されており複雑でわかりにくくなっております。

医療に関する部分では大きく①医療費の助成②障害者手帳③生活費等の助成や給付等、の3つに分けて考えるとわかりやすいと思います。

基本的には障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)によって定められており、市区町村の障害福祉課などが窓口になっておりますので、そちらでご相談頂くと良いかと思います。

その他、本稿では省略しますが、障害者総合支援法には相談支援や介護給付(生活介護やショートステイなど)、訓練等給付(自立訓練や就労支援など)などが定められています。詳しくはお住まいの市区町村の窓口にご確認下さい。

医療費の助成

てんかんの診断を受けて医療機関に通院されるすべての方に関係のあることかと思います。

お子さまの場合は乳幼児医療費助成制度(マル乳)義務教育就学児医療費助成制度(マル子)によりてんかんに関わらず医療費の助成を受けることができます

マル乳やマル子が受けられない場合、てんかんの診断名があれば自立支援医療(精神通院医療)により、てんかんに関わる医療費に関しては自己負担額が1割になります。てんかんと診断された方はすべての方が申請でき、収入によっては自己負担額の上限もありますので、無理なく通院を継続することができるかと思います。

医師の診断書があれば申請でき、交付までに時間はかかりますが申請日にさかのぼって助成を受けることができますので、ご希望の方はお早めに主治医に診断書の発行を依頼されると良いかと思います。

また、障害者手帳をお持ちの方は重度心身障害者医療費助成制度(マル障)の対象となる可能性があります。所得制限はありますが、東京都の場合は身体障害者手帳1級・2級、療育手帳1度・2度、精神障害者保健福祉手帳1級の方が対象となり、住民税課税者は1割負担、非課税者は負担なしとなりますので、対象の方は取得されるとよいでしょう。

特定のてんかん症候群やてんかんの原因となる基礎疾患によっては小児慢性疾病医療費助成制度難病医療費助成制度の対象となる可能性があります。ご自分の病名が対象疾患に含まれているかどうか、ホームページで対象疾患一覧がご覧頂けますので一度ご確認されることをお勧めします。所得や重症度によって自己負担上限額が設定されます。

小児慢性疾病は18歳未満が対象ですが、申請により20歳まで延長可能です。マル乳・マル子があれば医療費はほとんど助成されますが、マル子の対象から外れても助成を受けることができますし、入院時の食費まで助成されますので対象疾患の方は申請をご検討ください。

上記の医療費助成制度の他、1か月の医療費が高額となった場合に上限を超えた額が支給される高額療養費制度や、1年間の医療費が高額となった場合に税金の控除を受けられる医療費控除などがあります。高額療養費制度に関しては健康保険組合、医療費控除に関してはお近くの税務署にご相談ください。

障害者手帳

障害者手帳は種々の社会福祉制度を利用する上で必須のものではありませんが、所持しておくことで障害があることの証明として役に立つことがあります。

障害者手帳には身体の障害に対する身体障害者手帳、精神の障害に対する精神障害者保健福祉手帳、知的な障害に対する療育手帳の3種類があり、税の減免、交通機関の割引、公営住宅への優先入居、公共料金等の割引などのサービスを受けることができます。

手帳の名称手帳の種類根拠法
身体障害者手帳身体障害身体障害者福祉法
療育手帳知的障害なし
精神障害者保健福祉手帳精神障害精神保健福祉法
表1 障害者手帳の種類

身体障害者手帳は身体障害者福祉法、精神障害者保健福祉手帳は精神保健福祉法に基づいた制度ですが、療育手帳は根拠となる法律はなく自治体により呼び名が異なり東京都では愛の手帳と呼ばれています。

必要なサービスによって持っておくべき手帳も変わってくるかと思いますが、身体障害者手帳と療育手帳の方が精神障害者保健福祉手帳よりも受けられるサービスが多いようです。身体障害や知的障害を併存されている方はこれらの手帳の取得を検討されると良いでしょう。

てんかんは医学的には脳の機能的な異常による身体疾患ではありますが、歴史的に行政上は精神疾患として扱われてきた経緯があり、精神障害者保健福祉手帳はてんかんと診断されて6か月以上経過していて、発作や精神合併症により日常生活や社会生活に困りごとがある方であれば取得することができます。2年に1度の更新が必要ですが、自立支援医療制度との同時申請や更新も可能ですので、生活に困難があるものの身体障害者手帳や療育手帳の対象とならない方は取得を検討してみてはいかがでしょうか。

生活費等の助成や給付等

障害のあるお子さまの育児やご本人の障害により就労に制限や困難がある場合、所得によっては生活費の助成を受けることができます。

国の制度として、

20歳以上:特別障害者手当

20歳未満:特別児童扶養手当障害児福祉手当

などがあります。

その他にも都道府県ごとに独自の手当がありますので、詳しくは市区町村の窓口にてご確認ください。

障害者手帳をお持ちの方や特別児童扶養手当等の手当を受給されている方は、20歳以上で障害年金の受給対象となる可能性があります。20歳になる前に市区町村の窓口にご相談されると良いでしょう。

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