若年ミオクロニーてんかん

思春期に発症するてんかんの代表的疾患である若年ミオクロニーてんかんについて解説します。

概要

思春期に発症する、全身のけいれん(強直間代発作)を引き起こすてんかんを総称して「特発性全般てんかん」と言いますが、その中でも代表的な疾患です。全てのてんかんの中でも5~10%を占めるとも言われています。

典型的には朝起きてから30分~数時間以内に起こる手のピクツキ(ミオクロニー発作)を特徴とし、ほぼ全例で強直間代発作も見られます。

抗てんかん薬による治療により発作は比較的容易に抑制できますが、断薬に伴う再発も多いため、多くの方は成人期にわたって治療の継続が必要です。

好発年齢

70~80%の方が12歳~18歳に発症し、やや女性に多いと言われています。

発作

ミオクロニー発作が特徴的ですが、ほとんどの方は強直間代発作で初めて医療機関を受診し、てんかんと診断されます。

ミオクロニー発作は本人や家族も発作と認識していないことも多く、医師からの質問で初めて気づかれることも多いですし、医師から適切な質問がされず本疾患と診断されずに治療されていることも多く見受けられます。

ミオクロニー発作は早朝に起こることが多く、手が突然ピクンッとなることにより朝食中に箸や茶碗を落としたり味噌汁をこぼしたりします。
手が勝手に近づいてくる、手が動かしづらくなる、という表現をする方もいますので、感じ方は人それぞれです。
足に出たりすることもありますが、典型的には左右差をもって上肢によく見られます。

多くはありませんが、突然動作を停止させる欠神発作を合併する方もいらっしゃいます。

睡眠不足、疲労、過度の飲酒が発作の誘因になりますので、規則正しい生活と十分な睡眠と休息、飲酒もほどほどにすることが重要です。

診断

発症年齢、発作の症状、脳波所見などから総合的に診断します。

典型的な脳波所見として3~6Hz程度の比較的速い全般性の(多)棘徐波が見られます(図1)。

約30%の方に光刺激によるてんかん波の誘発(光突発反応)がみられ、診断の参考となります。

脳波検査で光突発反応が見られた方は日常生活でも注意が必要ですが、必ず日常生活でも光刺激で発作が誘発されるわけではないので、過剰な日常生活の制限は必要ありません。

図1 15歳男性 睡眠時および覚醒時ともに3~3.5Hzの全般性棘徐波を散見した。

治療

第一選択薬はバルプロ酸ナトリウムであり大変よく効くのですが、本疾患は思春期以降に発症し長期の内服が必要になることが多いため、胎児に対する催奇形性の副作用が問題となります。
そのため将来の妊娠・出産の可能性を考慮して、女性に対しては別の薬剤を選択します。

バルプロ酸ナトリウム以外ではレベチラセタム、ラモトリギン、トピラマート等が選択肢となり、その中でもミオクロニー発作に効果の高いレベチラセタムがよく使われます。

ミオクロニー発作に対してはクロナゼパムも以前よりよく使われています。

一方で、カルバマゼピン、フェニトイン、ガバペンチンといった薬剤はミオクロニー発作を悪化させるため注意が必要です。

予後

本疾患は適切な治療により比較的容易に発作を抑制できますが、断薬による再発が多く、多くの方は成人期にわたって治療の継続が必要です。

断薬を試みる場合、再発しても許容される時期や社会的状況でトライするのがよいでしょう。
発作の再発は減量中や断薬後半年以内が多いため、例えば高校進学後かつ受験学年になる前の高校1~2年生のときや、大学受験が終了してまだ親元で生活している時期など、再発しても安全が担保できており影響も少ない時期が良いでしょう。

断薬トライを考えている方は運転免許の取得については保留し、取得時期について主治医とよく話し合うようにしましょう。

また、妊娠・出産を考えている方も、てんかんの治療と安全な妊娠・出産を両立させるために、主治医とよく相談して計画的な妊娠・出産を目指しましょう。
特に産後の睡眠不足は発作再発の大きなリスクとなりますので、ご家族の理解と協力も不可欠です。

繰り返しになりますが、本疾患は睡眠不足、疲労、過度の飲酒が発作の誘因になります。規則正しい生活をこころがけ、十分な睡眠と休息をとり、お酒もほどほどにしましょう。

長期の治療が必要な可能性のある疾患であり生活上の注意点も多いのですが、適切な治療と正しい知識によって安全で充実した生活を送ることが十分に可能です。

ちょうど小児科と内科の切り替わりの時期に発症する本疾患の患者様の中には、きちんと診断されていなかったり、適切な生活指導や先の見通しの説明を受けられていない方がしばしばいらっしゃいます。
てんかん発作のコントロールのみならず生活の質に関わる問題も多いので、そのような方は一度てんかん専門医の外来を受診されることをお勧め致します。

当院では運転免許の取得や計画的な妊娠・出産等に関する相談もお受けしておりますので、遠慮なくご相談ください。

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