勇気ある行動

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嬉しいことがありました。
先日、とあるスイミングのインストラクターさんから相談の連絡を頂きました。

スイミングの生徒さんが最近「ローランドてんかん」と診断されたようで、会社の方針として「てんかん」と診断された方は通えないので退会させなければならないことになった、というものです。

その生徒さんは初めて自分からやりたいと言いだしたのがスイミングだそうで、大好きなスイミングをなんとか続けさせてあげたいと思ったそのインストラクターさんは、いろいろとローランドてんかんについて調べたそうです。

その結果、ローランドてんかんであれば通うことは可能なのではないか、と思い会社の方針を変えたくてアドバイスを求めて私にたどり着いた、とのことでした。

ローランドてんかん(中心側頭部に棘波を持つ良性小児てんかん:BECT)は、幼児期〜学童初期に発症するてんかんで、入眠前後や覚醒前後の睡眠に関連した時間帯に、主に口周囲の顔面が片方だけ数分間ピクピクする発作が生じます。基本的に意識は失いませんが、全身の痙攣になってしまう方もいます。症状と脳波検査で診断できます。

ほとんどの方が数年で自然に発作を起こさなくなるため、全身の痙攣を起こさない方は治療もしないこともありますが、おくすりで治療する方も多くの方は数年間で中止できます。そもそも睡眠に関連した発作が主体なので日中の活動制限はありませんし、全身の痙攣を起こす方でもおくすりでコントロールできていれば危険はありません。この生徒さんはおくすりも飲んでいない方のようなので、極めて危険性は低いと言えます。

私からは、昨年のティップネスのニュースを引き合いに、てんかんという病名だけで入会を拒否することは障害者差別解消法に反する可能性があること、てんかんも様々であること、制限が必要かどうかは医師が判断するものである、ということをお伝えしました。

その後インストラクターさんは担当部署に掛け合って、この生徒さんは医師の診断書があれば引き続き通うことができるようになり、今後の会社の方針も見直す方向で動いてくれるようになった、と本日報告を頂きました。

てんかんはまだまだ誤解と偏見の多い病気です。てんかん=いつ痙攣するかわからない病気、というイメージから制限を受けてしまうこともまだまだ多くあります。そんな中で、てんかんの知識のなかったこのインストラクターさんは患者様のために一生懸命勉強され、相談相手を探して私にたどり着き、勉強した知識と医師の意見をもとに会社に掛け合って会社の方針を変えるまでに至ったのです。

会社の方針に逆らうというリスクを背負ってでも患者様のために行動を起こしたインストラクターさんの勇気ある行動に私は非常に感動し、日本の将来に希望の光を見ました。

患者様とそのご家族様だけでなく、このインストラクターさんのようなサポーターの方たちのためにも、私にできることは今後も力を尽くしていきたい、と思います。